USCPAの人たちは監査法人で働いたあとは、どんな転職先を選ぶんだろう?
僕はUSCPAを取得して未経験から監査法人に転職しました。これまで監査法人から転職していく人たち見ていると、USCPAが監査法人の次に選ぶキャリアは多岐に渡ります。なので「これがベスト」といった答えがあるわけではなく、本当に人それぞれの伸ばしたいスキルや好み、特性によって選んでる印象です。
とはいえ一定の傾向はありますので、再現性はあるのだと思います。僕自身も今後のキャリア形成を検討するうえで良いなと思っている情報を共有しますので、今後USCPAや監査法人経験を活かしていきたい人にとって参考になれば嬉しいです!
✔︎この記事の内容
- USCPAにとって「まず監査法人」は正解か?
- 監査法人で得られる経験・スキル
- USCPAが監査法人の次に検討したい転職先
- 海外就職の可能性について
✅本記事のコンセプト:30代未経験からUSCPAを取得・監査法人へ転職した筆者が、監査法人で得られる経験やスキルを洗い出す。そのうえで、監査法人の次のスッテップとして考えられるキャリア選択を考察する。USCPAの取得や監査法人への転職に興味のある読者は、今自分が取り組んでいることがどんな未来につながっているのかを想像しやすくなるので、自信を持って勉強や仕事に打ち込むことができる。
✔︎筆者のプロフィール
地元で最低偏差値の高校出身、大学卒業時のTOEIC370点。アメリカへ行ったことがキッカケで英語と海外に興味を持ち、人生が変わり始める。
会計・経理の知識ゼロからオーストラリアの大学院で会計学修士号を取得。日本へ帰国後、8ヶ月の独学でUSCPA試験に全科目一発合格→ワシントン州ライセンス取得。相互認証制度を利用し、オーストラリア公認会計士(CPA)を取得。現在は監査法人にて勤務、USCPAと英語を活かしたキャリア形成を図る傍ら、ブログ・TwitterにてUSCPAや海外でのキャリア形成に関する情報を発信中。
Twitterでは、USCPAに関すること、海外での可能性などの有益な情報発信を頑張っています。DMで質問も受け付けていますので、ぜひそちらもチェックしてみてください!
Twitter ➡️➡️➡️ パラゴン@USCPA→海外で独立に挑戦中
USCPAにとって「まず監査法人」は正解か?
日本の公認会計士試験合格者の多くは、最初の就職先として監査法人へいきます。これは、監査法人で得られるスキルや経験は、彼らにとってはプロとしてまず学ぶべきものであり、多くの人にとって「最適解」であるかと思います。
それでは、USCPAの場合はどうでしょうか?
監査法人勤務のUSCPAの多くは、社会人経験者であり、他業界からの転職組です。そんな彼らにとって、会計士としての最初のキャリアが監査法人がベストかというと、結論「USCPAを活用して何がしたいのか?」これが全てになってきます。
- 会計士として、監査をやっていきたいのか?
- コンサルなど、監査以外の専門性が高い分野へ進みたいのか?
- 監査つながりで、企業の内部監査室はどうか?
- 事業会社でCFOや経営企画部を狙うのか?
- 海外転職を目指すのか?
ざっと考えてもこのような選択肢があります。上記のような転職を目指す場合、監査法人で得られる経験は評価されるのでしょうか?また、転職後に実務に活かせるのでしょうか?監査法人で得られる経験やスキルを見ていきましょう。
監査法人の待遇や職場環境についてはこちらで紹介しています。
監査法人で得られる経験・スキル
USCPAに限らずですが、監査法人で得られる経験・スキルは非常に専門性が高く、プロとしての能力を高めるには最高の環境です。
- 業務を通じて会計知識を活用・伸ばしていける
- 様々な企業のビジネスの中身が見れる
- 企業の上層部や経理責任者とのコミュニケーションが経験できる
- 経験豊富な会計士と仕事ができる
- 希望すれば英語を使用する仕事も経験できる
このように、会計、ビジネス、コミュニケーション、英語など、全てのビジネスパーソンに必須だと言えるようなスキルを監査法人ではまとめて習得できます。これらの能力はどんな業界や職種で働くとしても役立つ可能性が高いものだと言えるでしょう。
業務を通じて会計知識を活用・伸ばしていける
監査は企業が作成した財務情報が会計基準に準拠して正しく作成されているかを確認する仕事です。
会計基準を調べて、担当クライアントのケースに当てはめて検討して、、、という作業を日々繰り返すので、自然と(というか強制的に)会計知識を伸ばすことができます。
ここまで日常的に会計基準に触れていられる仕事は珍しいと思います。
そういった意味では、監査法人は会計知識を専門家レベルに成長させるには最適な環境だと言えるでしょう。
様々な企業のビジネスの中身が見れる
企業は通常、ほとんどの情報は一般公開しません。社員であったとしても、勤めている会社に関する情報でアクセスできるものは限られています。
監査では、監査に必要な情報の全てを企業は提供する必要があるので、監査法人でない限り絶対に見れない企業の情報を見ることになります。
財務情報はもちろん、オペレーション、事業計画、契約、工場や倉庫の中まで見ることもあります。
様々な企業の内部を見るという貴重な経験は、ビジネスパーソンとしての視野を広げ、自身の知見の幅を広げることにつながるでしょう。
企業の上層部や経理責任者とのコミュニケーションが経験できる
一般企業に勤めていると、関わるのは部署内の人や同期・年次の近い先輩後輩あたりになることが多いと思います。社外に出ても若手に対応してくれるのはせいぜい担当者レベルでしょう。
監査法人で働くと、若手でも経営者や取締役といった企業の上層部とのコミュニケーションを経験できるチャンスがあります。
相手はその業界のベテランであり、知識経験は豊富なのでとても勉強になります。また、経営者とのミーティングは緊張感も伴う中で、必要な情報を引き出していかなくてはなりません。そういった経験から学べることは非常に多いでしょう。
経験豊富な会計士と仕事ができる
前述の経営者もそうですが、普通に生活していると公認会計士って実際なかなか会う機会がありません。一方で、監査法人で働けば同僚はみんな会計士になります。
また、監査チームに1人や2人はベテランがいますので、彼らが作った監査調書やチームのまとめ方、クライアントとのコミュニケーションを取っている様子など、ベテラン会計士の仕事を近くで見ることができます。
特にロールモデルとなるような先輩・上司に出会うことができれば、会計論点へのアプローチ、コミュニケーション、チームマネジメントが学べることで、自身の会計士としての能力アップに大いに役立つでしょう。
監査法人で働いていると、上記のような機会に恵まれることは決して珍しいことではありません。
希望すれば英語を使用する仕事も経験できる
必須ではありませんが、監査法人では国際案件も多々あり、希望すれば英語を使う業務も経験することができます。USCPAとして働くなら、国際業務は経験しておいた方がいいと思います。
会計と同じく、英語に関しても資格などの「学習ベース」だけでは実用性を社会的に証明するのは難しく、転職では特に「実務経験」の有無が問われます。
この点においても、監査法人は希望すれば英語の実務経験を積むことは難しくありません。(むしろ人手不足なことが多いので歓迎されます)
USCPAが監査法人の次に検討したい転職先
上記、監査法人で得られるスキルを踏まえ、USCPAが有利に進められる可能性のある転職先を考えてみます。
ここでの「有利な転職」とは、「専門性を活かすことができ、年収アップにつながる可能性が高い」と定義することにします。
英語力と監査法人で得た会計のプロとしての専門性を掛け合わせると、以下のよう転職先が考えられます。
- 他の監査法人の監査部門
- 監査法人のアドバイザリー部門
- 内部監査室
- コンサルティングファーム
- IPOを目指すベンチャー企業
それぞれ特徴を見てみましょう。
他の監査法人の監査部門
監査法人で数年の経験を積み、他法人へ転職する人は案外結構います。ワークライフバランスを求めて大手から中小への転職したり、逆に大手でしか経験できないようなビッグクライアントの監査が経験したくて中小から大手へ転職するケースがよくあるパターンでしょうか。
監査法人→監査法人への転職で年収アップは狙えるのかというと、現状維持かちょいプラスになるケースが多いと思います。少なくとも年収ダウンになることはない(年収を下げてまで転職する人はほぼいない)ので、監査は続けたいけど環境を変えたい人には良い選択だと思います。
監査法人のアドバイザリー部門
監査法人のアドバイザリー部門への転職も、USCPAに限らず監査法人からよくある転職先です。
一言に「アドバイザリー」と言っても、ジャンルは多岐にわたります。
- 決算支援
- 内部統制業務支援
- IPO支援
- リスク管理体制構築
- 事業再生支援
進むジャンルにより得られる専門性は違ってきますが、監査+のスキルとしてアドバイザリーを経験することで、会計士としてのスキルを飛躍的に向上することにつながるでしょう。
また、監査部門からアドバイザリー部門への転職は、一般的に年収アップが期待できるといわれます。
実際、監査法人の元同僚は監査経験3年ぐらいでアドバイザリーに転職し、100万円以上の年収アップに成功していました。夢がありますね。
内部監査室
企業の内部監査室は、企業内で独立した部署として、会社の運営が法規、マニュアルや規則にしたがって行われているかを監査する役割です。
監査法人が行う外部監査では、財務諸表が会計基準に準拠して作成されているかを確認しますが、内部監査では企業のルール面の整備・統制に働きかけるもの、といった特性があります。
内部監査の結果を監査報告書にまとめ、経営者へ提出します。内部監査室は経営者がより効率良く、統制のとれた事業を運営することに貢献する大変やりがいのある仕事だと思います。
監査を行う視点は異なりますが、監査法人で様々な企業の財務諸表監査や内部統制監査をしてきた経験は、内部監査室への転職でも評価されています。また、比較的ワークライフバランスが取りやすい職種であり、30代以降の転職者に人気のある転職先です。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームでの仕事は高収入が見込めまずが、求められる能力やスキルも非常に高く、転職を成功させることは容易ではありません。ですが、監査法人を数年経験した後ならコンサルティングファームへの転職も不可能ではありません。
20代で高い英語力とコミュニケーション能力が備わっていればダイレクトに転職できる可能性もありますが、転職成功の確率を高めるには監査の次に上述のアドバイザリーの経験を挟むと良いでしょう。監査→アドバイザリー→コンサルは現実的なステップであり、USCPAが高年収の転職を実現させることのできる一つのモデルルートなのではないかと思います。
IPOを目指すベンチャー企業
上記、コンサルも高年収を実現しやすいですが、IPOベンチャーにCFOや経理責任者を狙って入るのも夢がある転職だと思います。
IPO会社は若い会社が多く、内部の体制ができていない企業が多いです。内部統制やマニュアルも整備されていない状態ですが、上場を目指すには監査法人や証券会社などの対応が必要になってきます。そういった諸々の実務に対応できる人材がいないIPO会社は実際たくさんありますので、監査法人での実務を経験したUSCPAなら需要にフィットする求人はそれなりにあるのではないかと思います。
IPO会社に夢があるのは、会社のキーパーソンになることができ運が良ければストックオプションをもらえる可能性があることです。うまく当たって上場に成功すれば、一気に莫大な利益を手にできることもあります。頑張りがいのある話ですね。
海外転職の可能性は?
世界経済の中心である米国の会計士資格であるUSCPAは多くの国で認知されているので、海外の駐在案件や現地就職も希望すれば有利に働くことは間違いありません。
日本社会の中で働いてみると、やはり実務レベルに対応できるレベル感で英語が使える人材は圧倒的に不足していると感じます。USCPAは、そういった国際的に事業を拡大する意思のある企業のニーズを満たす人材として活躍できるのではないでしょうか。
また、永住権を取って移住を目指すなら、海外での現地採用を狙うのが良いでしょう。
USCPAの海外就職についてはこちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひ読んでみてください。
まとめ
USCPAを取得したらどうするのか?受験者の多くが一度は考えるテーマだと思います。
これまでUSCPAが監査法人で働くメリットを他の記事でも紹介してきましたが、今回はその次のステップとして、監査法人を経験したあとの転職活動について考えてみました。
実現可能となる選択肢が、本当に自分にとって目指すところなのか?こういった視点から監査法人勤務で得られるメリットを観察してみると、自身にとって何がベストな選択なのかが、少しは見えやすくなるのではないでしょうか。
本記事が英語や会計を軸としたキャリア形成に興味がある人の参考になれば嬉しいです!
ここまで読んでくれてありがとうございます!
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