未経験だけど監査法人へ転職できました。これから仕事についていけるか不安だな。監査法人で働くために勉強しておいた方がいいことって何だろう?
僕はUSCPA(米国公認会計士)を取得して未経験から監査法人に転職しました。監査法人での業務は専門性が高くて最初はわからないことが多くてすごく大変でした。「問題につまずく→調べる→解決→1つ成長」といったことを繰り返しながら少しずつ知識をつけてこられたかなと思います。基本的にネット検索か書籍で学習してきました。今振り返ると、実務上すごくタメになった本の中から、特に良かったものを厳選して紹介します。
✔︎この記事の内容
- 監査法人で必要な知識・スキルとは?
- 未経験者が監査法人で働くなら読むべき本8選
- 【おまけ】英語力を伸ばしたいなら
✅本記事のコンセプト:30代未経験からUSCPAを取得・監査法人へ転職した筆者が、転職後に読んで良かったと思う本を紹介する。実務未経験者にとって理解しやすく、監査法人で働くうえで知っておくべき知識を習得できる良書のみを紹介する。これから監査法人への転職を検討している人は、これらの内容を理解しておくことで現場での仕事をスムーズに進めることができるようになる。
✔︎筆者のプロフィール
会計・経理の知識ゼロからオーストラリアの大学院で会計学を選考。卒業後は現地での就労を経験し日本へ帰国。大学院で学んだ知識と取得単位を活用し、8ヶ月の独学でUSCPA試験に全科目一発合格。ワシントン州ライセンス取得。相互認証制度を利用し、オーストラリア公認会計士(CPA)を取得。現在監査法人にて勤務、USCPAと英語をフルに活かしたキャリア形成を図る傍ら、ブログ・TwitterにてUSCPAや海外でのキャリア形成に関する情報を発信中。
Twitterでは、USCPAに関すること、海外での可能性などの有益な情報発信を頑張っています。DMで質問も受け付けていますので、ぜひそちらもチェックしてみてください!
Twitter ➡️➡️➡️ パラゴン@USCPA→海外で独立に挑戦中
監査法人で必要な知識・スキルとは?
「専門書を読む」ということは、何かしらの知識の習得を目的としているはずです。本記事では、実務未経験者が監査法人で働くなら絶対に読んでおくべき本を紹介するので、前提として監査法人で必要な知識・スキルとはどんなものがあるのかを考えてみましょう。
*本記事では、試験で学習するような会計・簿記知識や監査理論は取り上げません。それらは習得していることを前提としたうえで、実務に必要な知識を詳細にみていきます。
代表的なものを挙げると、監査法人で働くうえで大事なスキルは以下となります。
- 経理実務の知識
- エクセル
- コミュニケーション能力
日本でも米国でも、公認会計士試験に合格した人は、基本的な会計知識に関しては十分備わっていると想定されます。USCPAで会計知識に自信がない人は、まずは簿記を勉強しましょう。
⇒【どっちを取るべき?】USCPAと簿記1級の難易度やメリットを比較
上記のうち、本記事では「経理実務の知識」にフォーカスしたいと思います。会計知識はあっても、経理実務をやったことがなければわからないことだらけです。監査対応している経理部の実務はどのように動いているのかを理解しておくことは、監査をする側にとってもとても大切です。クライアントに「大丈夫かな?」と思われないためにも、基本的な経理の知識は押さえておきましょう。
未経験者が監査法人で働くなら読むべき本8選
それでは、監査法人で働くなら学習しておくべき知識を学習するための、オススメの本を紹介していきます。
上述のとおり、経理の基本知識を押さえつつ、会計士としての専門性も高めていける良書を選びましたので、参考にしてもらえると嬉しいです。
内部統制
まずは内部統制です。試験で学習する内容は基本的なものであり、実務を経験することで理解を深めていく側面が大きいと言えるのが「内部統制」です。実際、内部統制は実務をやってみないとイメージがしづらいところがあると思いますが、本書は図やイラストを使用し非常に分かりやすく内部統制の重要知識が解説されています。
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棚卸の実務
原価計算のために必須となる棚卸です。監査法人では「棚卸立会」といい、クライアントの棚卸現場で実際に棚卸を行なっている様子を観察したり、監査人自身がテストカウントを行う手続きがあります。なぜそのようなことを行う必要があるのでしょうか?また、どういった視点で観察すればよいのでしょうか?立会を行うにあたり、棚卸の目的や当日の流れなどの実務を理解している必要があります。
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税効果会計
こちらも試験で学習するので、合格された方は基本知識の理解はすでにあるかと思います。しかし実務では、会社区分やスケジューリングに基づいた繰延税金資産の回収可能性の検討、税効果会計に関する開示のことなど、より専門的な知識が必要になってきます。
こちらは税効果会計の実務が網羅的に記載されていて、とても勉強になりました。
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上記は税効果会計の実務について網羅的に書かれていて内容的には素晴らしいのですが、最初に読む本としては少し難しいかもしれません。もう少しとっつきやすい本としてはこちらがオススメです。
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法人税の実務
税効果会計と併せて学習するべきなのが、「法人税の実務」です。法人税の申告書はどのような手順で作成されるのかを理解してないと、上記の税効果会計を理解することも当然難しいです。別表の作成や、申告・納付の流れなど、クライアントの実務についての基本的なところは監査人として理解しておく必要があります。税金の話は退屈で難しい印象がありますが、この本はイラスト付きで内容もわかりやすく書かれているので飽きることなく読むことができました。
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収益認識の実務
ここ数年、会計・経理業界のホットな話題となっていた「収益認識基準の適用」についてです。2021年4月から始まる会計年度から、上場企業と大会社、つまり監査対象会社において強制適用となりました。監査法人や対象会社だけでなく、関連職なら理解しておいた方が絶対良いでしょう。
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IFRS(国際財務報告基準)
何かと話題になりやすいIFRSです。監査や経理をするなら基本的な知識は理解しておきたいです。実際、学習していてIFRSは難しいなと思います。この本は基本を理解するのにとても良かったです。
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次のステップとして、実務レベルで理解するのにはこの本がオススメです。
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GAAP差異
GAAPとは、Generally Accepted Accounting Principlesの略であり、一般に公正妥当と認められた会計原則のことです。日本の監査対象会社が使用を認められているGAAPは、日本の会計基準、米国会計基準、IFRSです。
日本基準で財務諸表を作っているけど、海外の親会社にIFRSベースでの報告が必要である場合、日本基準からIFRSへのコンバージョンが必要となります。その際に役立つのが、GAAP差異の知識です。
GAAP差異は細かく見れば膨大に存在し、全てを理解するのは難しいです。頻繁に論点になるところを理解し、必要に応じて調べられる理解度があれば最低限OKだと思います。
この本は日本・IFRS・米国の3基準を論点別に比較してくれていますので、すごくわかりやすいです。少し高いですが、実務上とても重宝しています。
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M&A
余裕があればですが、M&Aの知識も個人的には勉強しておいて良かったなと思います。昨今、M&Aはあらゆるところで実施されており、会計・経理関連の仕事をしているなら関わる可能性がないとは言い切れません。基本となるM&Aの流れから、デューデリジェンスやPMIの実務について少し知っておくと、いざM&Aの話題が入ってきた時に理解がスムーズです。
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【おまけ】英語力を伸ばしたいなら
どんな業界で働くとしても、確実に強い武器になってくれる「英語力」を伸ばすための教材としてオススメなのが、IELTS、もしくは英検です。
転職にはTOEICが有効ですが、本質的に使える英語力を磨くなら上記2つのどちらかをベースとした学習をオススメします。
*理由は単純にライティングとスピーキングが含まれているからです。TOEICもW&Sでライティングとスピーキングは受験できるので、TOEICを教材とするならW&Sも学習することをオススメします。
また、スピーキングを集中的に鍛えるならオンライン英会話がオススメです。リーズナブルな費用で英会話の練習ができる素晴らしいサービスだと思います。自分が英語を勉強し始めた頃にあったら良かったなーと思います。実際に使ってみてすごく良かったので、自信を持ってオススメできます。
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まとめ
監査法人で働くうえで若手のうちに読んでおくべき書籍を紹介しました。特に実務的なところは試験勉強では学習できません。少しずつ知識をビルドアップして、経理実務をしっかり理解した会計士を目指しましょう!
本記事の内容の中で、1つでも参考になるところを見つけてもらえると嬉しいです!
ここまで読んでくれてありがとうございます!
Twitterでは、USCPAに関すること、海外での可能性などの有益な情報発信を頑張っています。DMで質問も受け付けていますので、ぜひそちらもチェックしてみてください!
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