オーストラリアの永住権に興味があります。USCPA(米国公認会計士)の資格を取得すれば有利になるって聞いたけど本当かな?現地就職の可能性も含めて、いろいろ知りたいな。
僕は以前、オーストラリアの大学院で会計学を学びながら永住権を目指していたことがあります。現在は、USCPA+オーストラリア公認会計士(CPA)を取得し、日本国内の監査法人に勤務中です。今後はオーストラリアを含めた海外への「会計士としての移住」を目指していくので、海外の永住権に興味がある人にとって参考になりそうな情報を共有します!
✔︎この記事の内容
- USCPAはオーストラリア永住権取得に有利?
- オーストラリアの永住権を目指す方法
- USCPAを活用して就労ビザの取得を目指す
- オーストラリア以外の国での可能性
✅本記事のコンセプト:USCPAを取得すればオーストラリアやその他の国での永住権取得に有利になるのか、様々なアプローチや可能性を紹介する。海外移住に興味のある読者は、自分にとって永住権の取得は現実的に可能かどうかを検討し、将来の選択に役立てることができる。
✔︎筆者のプロフィール
会計・経理の知識ゼロからオーストラリアの大学院で会計学を選考。卒業後は現地での就労を経験し、日本へ帰国。大学院で学んだ知識と取得単位を活用し、8ヶ月の独学でUSCPA試験に全科目一発合格。ワシントン州ライセンス取得。相互認証制度を利用し、オーストラリア公認会計士(CPA)を取得。現在は監査法人にて勤務、US・AUSのCPAと英語をフルに活かしたキャリア形成を図る傍ら、ブログ・TwitterにてCPA・監査法人・海外でのキャリア形成などに関する情報を発信中。
Twitterでは、USCPAや監査法人に関すること、海外での可能性などの有益な情報発信を頑張っています。DMで質問も受け付けていますので、ぜひそちらもチェックしてみてください!
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USCPAはオーストラリア永住権取得に有利?
さっそく本記事の結論を言いますが、「USCPAの資格がオーストラリアの永住権取得に有利になるか?」という質問に対する答えは、「ゼロではないが、ほとんど有利にならない」になります。
後述しますが、ここ数年、オーストラリアの永住権は非常に狭き門となっており、取得するのはとても難しい状況にあります。
それは、たとえUSCPAの有資格者であっても例外ではありません。
これはUSCPAに限った話ではなく、「資格」自体が永住権取得に有利になることがありません。
USCPAには相互認証制度があり、オーストラリアの会計士資格の取得が可能ですが、それでもオーストラリアの会計士資格=永住権につながることはありません。USであってもオーストラリアであっても、会計士資格自体が永住権取得に有利になることはないと思った方がよいでしょう。
一方で、USCPAが持つ「能力」や「実務経験」は永住権取得に有利に働くことがあります。
次章からは、USCPAをどのように活用すればオーストラリアの永住権取得に有利になるのかを紹介していきます。
オーストラリアの永住権を目指す方法
オーストラリアへ移住するためには、永住する権利のあるビザを取得する必要があります。永住ビザには様々な種類がありますが、本章では、できるだけ多くの人にとって取得の可能性があると考えられるものを紹介します。
技術者ビザ (サブクラス189 Skilled Independent)
会計士としてオーストラリアの永住権を取得するもっともメジャーな方法の1つが、「Skilled Migration(技術者ビザ)」になります。
189 – Skilled Independent (subclass 189) – Points-Tested
年齢、学歴、職歴、英語力などがポイント換算され、一定のボーダーをクリアすれば永住権に申請することができる仕組みです。
このビザは、数年前までは移民を目指す人にとって本当に良いビザでした。大学・大学院で政府が定める職業リストに載っているカテゴリーを履修し、卒業後に永住権申請の条件が満たせる可能性が高かったのです。ある程度の英語力があって、大学などでしっかりスキルを身につけることに興味がある人にとってはそこまで難しいルートではなかったので、アジアやヨーロッパ出身者でこのビザの取得を目指す人がたくさんいました。
しかしながら、2017年ごろから、申請の条件が非常に厳しくなり、難易度が跳ね上がりました。
特にAccountant(会計士)として申請するのはほぼ不可能と言っても過言ではないぐらいに難しくなってしまいました。
✔︎技術者ビザで永住権取得の可能性のある人
- オーストラリアの大学/大学院を卒業している
- IELTS全セクションで8.0以上の取得が可能
- 関連する職歴が少なくとも5年以上ある
このように、非常に厳しい条件となっています。
就労ビザ経由
「会計士」の特性を活かして移住を目指すなら、現実的なのが「就労ビザ経由」となります。
482 – Temporary Skill Shortage (subclass 482) – Medium Term Stream
このビザでは、最長4年の滞在ができます。
注意点として、同じSubclass 482にはShort Term Streamがあり、こちらも2~4年間の働きながらの滞在が許可されるのですが、その後の永住権申請にはつながりません。永住権の取得を目指すなら、Medium Term Streamで申請する必要があります。
*ShortとMediumの違いは、対象となる」職業リストが違います。Shortにはあるけど、Mediumにはない職業もあるので注意が必要です。
Medium Term Streamの申請条件としては、スポンサーになってくれる雇用主がいる、IELTS全セクション 5.0以上、Skill Assessmentの完了となります。Skill Assessmentとは、政府指定の機関によりオーストラリアでその職業の専門家として働く能力や経験を持っているかを評価されるプロセスです。会計士の場合はCAANZ、CPA Australia、IPAのいずれかの機関に評価してもらうことになります。
本記事では、USCPAを活用しての移住を考えた時に、多くの人にとって最も現実的である「就労ビザ経由」での移住達成をメインテーマとして扱います。次章では、具体的にどのように雇用主を見つけ、ビザを取得するのかを紹介します。
USCPAを活用して就労ビザの取得を目指す
USCPAのメリットを活かして、オーストラリアで就労ビザの取得を目指す時に考えられる選択は主に2つ考えられます。上記で紹介したSubclass 482と駐在になります。
Subclass 482
前章で紹介したオーストラリアの就労ビザであるSubclass 482は、オーストラリアで事業を行っている雇用主にスポンサーしてもらい取得するビザになります。
言い換えると、大前提として会計士として雇ってくれる雇用主を見つける必要があります。では、どうやってオーストラリアの雇用主を見つけるのか?
日本から探す場合は、Jams TVやGumtree、Seekなどのサイトで求人を出している企業へ連絡していくことになります。今の時代は、SNSを活用することも有効になるでしょう。
とはいえ、一番成功の可能性が高くなるのは、やはり現地へ行き、経営者の人たちに直接交渉することでしょう。
経営者になんてそんな簡単に会えるの?と疑問に思うかもしれませんが、オーストラリアにいる人は気さくな人が多く(日本人であっても)、また日本人コミュニティーは狭い傾向にあるので親近感を持ちやすく、案外連絡したら会ってくれたりします。もちろんうまくいかないこともありますが、しっかりとリスペクトを持ってコミュニケーションを取っていけば、決して非現実的な話ではありません。
「USCPAとして、どのように事業に貢献したいか」を明確にしておき、自分は経営者にとってメリットが提供できる人材であることをアピールできるようにしましょう。会社にとって有益な存在になることができれば、Subclass 482のスポンサーになってもらうことも現実的になります。
オーストラリアでの転職活動はこちらもぜひ読んでみてください。
駐在経由
もう一つ考えられる方法としては、日本企業への転職でオーストラリアの駐在案件を目指すという方法が考えられます。
USCPAを活かした転職となると、まず候補になるのが経理関係になるかと思います。
注意点として、駐在案件は基本的に管理職での募集がされているケースが多いので、未経験の状態からいきなり経理職での駐在は難しいかもしれません。
まずは日本で実務経験を数年積んだうえで、駐在を目指していくという長期的なキャリアプランが必要になります。
ハードルは高いですが実現できれば、職や住居を得た状態で渡航でき、働きながら現地で永住権を取得できる可能性を模索することができる駐在は、移住を目指す人にとって非常に魅力的な選択になると思います。
オーストラリア以外の国での可能性
これまでオーストラリアへの移住の可能性について紹介してきましたが、本章ではオーストラリア以外の国で魅力的な移住候補となる国を紹介します。
結論、オーストラリアの代替案となるのは以下紹介する2カ国になります。
カナダ
ここ数年、オーストラリアの永住権取得は非常に難易度が高くなっており、多くの移住を目指す外国人にとって難しい選択となっています。
そんな状況の中、カナダはとても魅力的な選択肢となっています。
オーストラリアに比べ移住の難易度がそれほど高くなく、英語圏であり、治安が良く、日本人コミュニティーも多く存在するという条件は、オーストラリアとも似ておりとても生活のしやすい環境であること言えるでしょう。
また、すぐ近くにアメリカがあるのも、USCPAホルダーにとっては魅力の1つになるのではないでしょうか。アメリカは中国に次いで、世界で2番目に日系企業が多い国であり、同国の会計士資格であるUSCPAは様々な場面で有利に働くのではないかと思います。
ニュージーランド
オーストラリアへの移住を目指す人にとってもう1つ魅力的な選択肢になるのが、お隣のニュージーランドではないでしょうか。いうまでもなく、両国はとても似ており、文化や生活感的には同じように暮らせるところが多いです。
また、ニュージーランドの市民権を獲得すれば、オーストラリアでの滞在制限がなくなります。働くことも生活することも自由になりますので、魅力的な2つの国で暮らす権利が得られることになります。
ただし、オーストラリアほどではないですが、ニュージーランドへの移住もとても難易度が高いものとなっていますので、英語力や職歴などの条件を確認したうえで検討するのが良いかと思います。
まとめ
USCPAを活用しての海外移住ついて、今回はオーストラリアへ焦点を当てて紹介してきました。
個人的にはUSCPAを持っているのに、海外での可能性を視野に入れないのはもったいないと思っています。せっかく米国の会計士という国際的な資格を取ったなら、人生の選択として海外移住を考えてみてはいかがでしょうか。決して簡単なことではありませんが、達成できた時のメリットは素晴らしいものであると断言できます。
本記事がUSCPAや海外への移住に興味がある人にとって、少しでも役立つ情報が提供できていれば嬉しく思います!
ここまで読んでくれてありがとうございます!
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