「USCPAの取得は意味がない」と言われる理由を考察

USCPA

「USCPAは意味がない」という話を聞きました。苦労して取得して時間とお金を無駄にしたくないです。実際、USCPA取得はあまり役に立たないのかな?

パラゴン
パラゴン

僕自身はUSCPAに合格してたくさんのメリットを感じています。今回は「USCPAに意味がない」という意見について考えていきます。

✔︎この記事を読むメリット

  • 「USCPAは意味がない」という主張の根拠を理解する
  • USCPAのメリットを理解する
  • USCPAが無駄になってしまうのはどんな場合かを理解する

本記事のコンセプト:USCPAは意味がないという主張の根拠・裏付けを考察。USCPAのメリットを知った上で、資格取得が無駄になってしまう場合を考える。読者は自分の状況と照らし合わせ、USCPA取得は自分にとって価値のあることなのか考えることができる。

筆者の経歴:USCPA試験に約8ヶ月の独学で全科目合格後、ワシントン州のライセンスを取得。未経験から監査法人への転職に成功・在職中の30代。英語と会計を軸にグローバルなキャリア形成に日々挑戦中です。本記事ではUSCPAをキャリア形成にフル活用している筆者が「USCPAは意味がない」という主張について考えます。

「USCPAは意味がない」という主張について

「USCPAは意味がない」という主張のほとんどは以下の理由です。

  • 日本での公認会計士としての独占業務ができない
  • 日本で働く以上、米国会計基準を学んでも役に立たない
  • 転職で評価されない

日本での公認会計士としての独占業務ができない

USCPA否定派の意見の代表はこれでしょう。「公認会計士としての独占業務ができない」

これは一見すると確かに不利に思えます。ちなみに公認会計士の独占業務とは、「監査報告書にサインができる」というものです。

ここで「監査報告書にサインをする」ってどんな仕事?という疑問が出てきます。監査報告書とは、企業が投資家や債権者向けに作成した財務諸表が公正な会計基準に従って正しく作成されているということを、会計のプロである公認会計士が意見を表明するというものであり、サインをするのはパートナーと呼ばれる法人のトップ(役員のような存在)です。つまり、監査法人でパートナーまで昇進することを目指すか、会計士として独立して事務所を持つつもりでなければ、サインのできる・できないは業務に全く関係ありません。監査法人では、「日本」「米国」のライセンスの違いによって業務内容や昇進スピードが変わることはありません。

この点に関して結論を言うと、監査報告書にサインをする機会のある会計士はごく稀なので、「独占業務ができない」と言う理由でUSCPAが意味ない資格だと言うのは無理があると思います。USCPAとしての知見や肩書を活かした活躍の仕方は、他にいくらでもあるからです。

日本で働く以上、米国の会計基準を学んでも役に立たない。

次に、「米国の会計基準を学んでも日本では役に立たない」という意見について考えます。

確かに日本で会計業務をするにあたっては、日本の会計基準を身につけていることは必須だと言えます。しかしだからと言って、一概に米国基準は役に立たないとは言い切れません。

まず第一に、日本・米国・国際基準など、細かな部分で違いは確かにありますが、会計学の根本となる考え方は同じであり、多くの基本的な部分は共通の認識で処理できます。米国基準は日本では全く役に立たないなんてことはなく、USCPAの知識は経理業務において、日本でも間違いなく使えます。米国などの海外企業と関係性のある日本の企業は今や無数にあるので、むしろ米国基準に精通していることは「強み」であると言えます。

さらにUSCPAで学ぶことは何も米国会計だけではなく、ビジネスに関する様々なジャンルを網羅的に学習します。「米国会計基準」だけに注目する狭い定義なら意味がないという意見もあるかもしれませんが、その他多くのビジネス知識を身につけられるUSCPAが意味がないというのも、定義の仕方がとても狭く無理があるように思えます。

転職で評価されない

「USCPAは転職で評価されるのか?」USCPAの取得を目指す人なら気になるところです。「苦労して取得して、転職に役立たなかったら…」。

この点に関しては「人による」という非常に曖昧な答えにならざるを得ません。なぜなら、転職で企業から評価されるための条件は持っている資格だけではなく、年齢・学歴・職歴・性格・人生経験など、様々な要素を総合的に判断されるものだからです。

ただ他の要素がどうであれ、「経理・英語・海外」このあたりをキーワードにした転職なら、USCPAが有利に働くことは間違いありません。USCPAという資格自体の評価は高いので、それを転職で活かせるかどうかは個人次第ということになります。

まとめると、「USCPAは転職て評価されないから意味がない」という主張は、USCPAが評価されないのではなく、他の要素も含め総合的判断で求人に見合わなかったケースに注目して取り上げているだけではないでしょうか。USCPAの資格自体は日本の転職市場で高い評価を受けているのは、転職のプロである転職エージェントにも確認できていますし、実体験としてもUSCPAは転職にとても有利に働いたと感じています。

USCPAの転職に関してはぜひこちらを参照ください。

USCPAのメリットを理解する

「USCPAは意味がない」という意見とは逆の主張で、USCPAのメリットを考えてみます。メリットとデメリットの両面を知り、挑戦するか検討してもらえたらと思います。

メリット1:会計知識が学べる

アメリカで会計のプロフェッショナルとして活動できる基準で会計知識が学習できます。会計基準はアメリカ基準で学習しますが、基本的なところは日本も同じなので心配ありません。むしろ世界経済の中心であるアメリカの基準や国際会計基準を取り入れる日本企業も増えて来ており、アメリカの基準で会計知識を学べることはこれからのグローバル社会で大きなメリットになることは間違いありません

メリット2:ビジネスに必要な知識が身に付く

USCPA試験は会計だけではなく、ビジネス関連の非常に多岐にわたるジャンルから出題されるので、受験者はそういった知識を網羅的に身につけなければ合格できません。

  • 財務会計
  • 公会計
  • 管理会計
  • 事業投資
  • 経済学
  • IT
  • コーポレートガバナンス
  • 監査
  • 証明
  • 内部統制
  • ビジネスロー
  • 税法

ざっと並べただけでもこんなにあります。より細かく分けるとさらに多岐にわたっています。

合格するにはこれらの知識を身につける必要があるので、「USCPA合格=ビジネスの知識を網羅的に身につけている人材」となることができます。

メリット3:より深い知識に興味が出て正のスパイラルに入る

USCPAで会計を勉強すると、より深い会計知識・税務や法律などに興味が出てくることも珍しくありません。さらに深く学習していくことで知識量を増やし、プロとしての能力や魅力にさらに磨きがかかるでしょう。

メリット4:資格とキャリアがリンクしやすい

グローバル社会の現代では英語が使えてビジネス知識を持った人材の需要は増え続けていますが、特に日本ではそういったジャンルにおいて深刻な人手不足状態です。そのためUSCPAは仕事を選ぶ側になりやすいので、自分が望むキャリアを築きやすいでしょう。今の時代、国際会計を扱う仕事は無数にありますが見合う人材は少ないのが現状です。USCPAはそういった業界の業務を通じてさらに学び・専門性を高めることができます。

USCPAが転職市場で評価される理由はこちら

メリット5:年収アップにつながりやすい

上の内容とリンクしますが、高い専門性を持ち、人材不足の職種が狙えるUSCPAは高年収を実現しやすいと言えるでしょう。

企業側は海外にチャンスを見出しているからこそ海外業務ができる求人を出しますので、多少人件費がかかっても海外事業を実現させたいことが多いと思います。そのような求人に当てはまるUSCPAは引く手あまたなので、年収アップを容易に実現できます。

メリット6:英語がバリバリ活かせる

USCPAに興味を持つ人は、多かれ少なかれ英語が得意、もしくは好きな人が多いと思います。そして得意な英語をキャリアに活かしたくて、関連性のある資格としてUSCPAを学習/検討しているのではありませんか?その選択は大正解だと思います。

上にも書きましたが、日本において英語ができる人材の不足状況は深刻で、これはなかなか解消されないでしょう。「英語を必要とする仕事はたくさんあるのに人がいない」こういった悩みを抱える日本の企業はたくさんあります。英語+会計を身につけたUSCPAはそういった英語・海外関連の仕事につきやすいので、身につけた英語をバリバリ活かせる環境を実現しやすいでしょう。

メリット7:自信がつく

自信がつく。これとても大事です。

難関試験を突破した経験や、会計士としての専門知識を得てキャリア形成の軸ができることで、「自分はこういうことができる人間なんだ」という自己認識ができ、自分に自信が持てます。考え方に芯があり、自信を持っている人というのはコミュニケーションや顔つきに現れてくるもので、結果仕事がうまくいく→さらに自信がつくというループに入りやすいです。

USCPAが無駄になってしまうのはどんな場合かを考察

上記のとおりたくさんのメリットがあるUSCPAですが、無駄になってしまう場合が存在するのも事実だと思います。本章ではUSCPAを活かすことができず、結果的に無駄になったと感じてしまう場合とはどんなものなのか考えていきます。

経理・英語・海外に関係のない仕事をする場合

様々な職種で活用できるUSCPAの知識ですが、「経理・英語・海外」これら全てに全く関係ない仕事では活躍の機会は少ないかもしれません。もちろん全く意味がないということではなく、関連職種を目指さないのであれば、USCPA取得を目指すより他の勉強をした方がいいということです。

1年~2年という学習期間と100万円前後の総費用という、USCPA取得にかける時間とお金を他に費やせばどんなジャンルであれ相当な成果が期待できるのではないでしょうか。限られた資源をどこに向けるかは大切です。もちろん、経理や英語を活かしたキャリア形成を目指すのであればUSCPAは最も良い選択の1つだと思います。ご自身が向かいたい方向性を考えた上で、その道でUSCPAを活かせるか検討してみてください。

まとめ

今回は「USCPAは意味がない」と言われる理由を考察・それに対する意見を書きました。USCPAも万能ではなく、中にはせっかく苦労して取得したにも関わらず、メリットを活用できない人がいるのも事実だとは思います。しかし個人的な意見としては、意味がある・活用できる人の方が圧倒的多数だと感じています。

本記事がUSCPAの情報収集に少しでも役立てば嬉しいです!

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