USCPAと簿記1級って両方とも難しそうだけど、実際どっちが難しいの?取得してメリットが大きいのは?
USCPAに合格してライセンスも取得しました。その後、日本の会計知識にも興味があったので簿記1級を勉強しています。今回はUSCPAと簿記1級の難易度・メリットの比較をします!
✔︎この記事の内容
- USCPAと簿記1級の難易度を様々な切り口で比較
- USCPAと簿記1級のそれぞれのメリットを比較
- USCPAと簿記1級、目的別にどちらを取得するべきか考察
「USCPAと簿記1級はどっちが難しいの?」こういった疑問を抱えている人はたくさんいると思います。本記事ではUSCPAに合格後、今まさに簿記1級の取得を目指している筆者の経験から、USCPAと簿記1級を様々な切り口で比較します。USCPAや簿記を学習中の方やこれから取得を検討中の方の情報収集に役立てば嬉しいです!
✅本記事のコンセプト:USCPAと簿記1級を比較。読者は自分にとってどちらを取得する方がよりメリットがあるのかを考える上で参考にできる。
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USCPAと簿記1級の難易度比較
会計関連の上級資格の取得を考える時、必ず比較対象となるのが「USCPA」と「簿記1級」でしょう。まずはそれぞれの概要をざっくり紹介します。
USCPA:米国公認会計士(USCPA)はU.S Certified Public Accountantといい、米国公認会計士協会が認めたアメリカの国家資格です。試験はFinancial Accounting & Reporting(企業財務会計及び公会計)、Business Environment & Concepts(ビジネス環境及び概念)、Auditing & Attestation(監査及び照明業務)、Reglation(法規)の4科目で構成されており、75点以上が合格点となります。全科目合格し、各州が定める条件を満たすとライセンスの申請が可能になります。
簿記1級:簿記1級は日本商工会議所による検定試験であり、「極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル」と定義されています。また、「公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門」とも言われます。複雑な会計知識を身につける必要があるためその専門性は高く、簿記1級は大企業の経理職で求められるレベルです。
それではこの2つの資格試験を様々な基準で比較してみましょう。ちなみに本記事では資格の難易度比較を行う際の鉄板基準である「合格率」は排除しています。理由はそれぞれ異なった合格基準を設けた試験であり、そもそも受験背景が違うので単純に合格率を比較しても参考にならないこと、また「難易度」というキーワードで検索すれば合格率で比較した記事は他にいくらでもあるので、あえてここで紹介してもあまり価値がないと思うからです。
比較基準は以下5つです。
- 会計試験としての難易度
- 言語によるハードル
- 試験範囲と総合的な難易度
- 受験機会による難易度
- 手続きや費用に関するハードル
会計試験としての難易度
USCPAと簿記1級は会計資格なので、当然会計知識が問われる試験です。FAR(財務会計論)とBECの1部(管理会計論)がそれにあたります。一方簿記1級は商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4ジャンルで構成されており、実質、商業簿記+会計学で財務会計論を、工業簿記+原価計算で管理会計論を構成していると考えられます。USCPA試験のFAR+BECと簿記1級の会計試験としての難易度を比較すると、確実に簿記1級の方が難しいです。USCPA合格後に簿記1級を学習していて、求められる理解の深さのレベルが違うと感じています。USCPAも範囲としては幅広く学習するので論点は重なっていることは多々ありますが、簿記1級の方がより複雑な会計処理ができる知識が求められます。
言語によるハードル
USCPAは英語による試験のため、英語がわからないと合格するのは不可能です。
使用される英語自体はそれほどレベルの高いものではなく、TOEIC800点ぐらいの英語力がある人にとってはUSCPAが英語での試験であるということにストレスは感じないでしょう。それにしても基本的なリーディング力や専門用語の暗記は必要であり、英語での試験という要素が日本人にとってUSCPA取得のハードルを上げていることは間違いありません。その点は、日本語での試験である簿記1級よりUSCPAの難易度が高くなるポイントです。
試験範囲と総合的な難易度
試験範囲という切り口で比較すると、USCPAの方が難易度が高いと思います。なぜならUSCPAは会計科目だけではなく、法律・監査論・ファイナンスのように他にも難易度の高い論点をクリアする必要があるからです。
会計科目内の論点同士は相関性が強く、学習を進めていくと知識の点と点がつながり理解が加速することがありますが、法律や監査論は全く異なる科目なので試験上においての関連性はあまりなく、独立した科目としての学習が必要です(実務上の関連性はあります)。
受験機会による難易度
USCPAは東京と大阪にあるプロメトリックセンターで受験します。だいたい週に3~5日ほど受験日が設けられており、空席があればいつでも受験することができます。つまり準備ができ次第、予約して受験することができるので資格試験としては受験者にとってかなり良い制度と言えるでしょう。
一方簿記1級は6月と11月の年2回しか受験チャンスがありません。一度不合格になってしまうと次の受験は約半年後になってしまいますので、受験のプレッシャーは比較的大きいでしょう。それに、次回の受験が遠いとモチベーションの維持が大変そうです。
「受験機会」という切り口で見ると、圧倒的に簿記1級が難しいです。受験のタイミングを選べることはUSCPA試験のとてもありがたい点ですね。
手続きや費用に関するハードル
USCPAは単位取得や学歴審査に始まり、受験の手続きが大変です。
詳細はここでは書きませんが、試験にたどり着くだけでも一苦労です。下手をすると事前準備が最大のハードルなんじゃないかってくらい時間と手間がかかり心が折れそうになります。一方簿記1級はネットで申し込むだけで誰でも受験できますので、手続きはとても簡単です。
費用に関しても、USCPAは単位取得、学歴審査、そして1科目7~8万円の高額な受験代がかかります。予備校を利用すればさらに50万円~の予備校代もかかります。それに比べて簿記1級にかかる費用は受験代7850円のみです。予備校を利用するとしても10万~20万円程度なので、USCPAの費用とは比較になりません。
手間・費用という面の難易度ではUSCPAの圧勝です。
手間はかかりますが、独学なら費用を抑えることも可能です。
USCPAと簿記1級のそれぞれのメリットを比較
USCPAも簿記1級も、いうまでもなくかなりの難関資格であり、合格者は相応のメリットを享受できます。難易度を比較した上で、USCPAと簿記1級はどちらの方が得られるメリットが大きいのか、それぞれの特色を考えながら紹介していきます。
USCPAのメリット1:英語力の証明になる
USCPAはアメリカの国家資格であり、試験は全て英語で行われます。なので当然、USCPA=高い英語力の証明として機能します。日本においては英語を実務に使えるレベルの人材はまだまだ不足していますので、USCPA取得で高い英語力を証明できれば様々な場面において重宝される人材となるでしょう。
USCPAのメリット2:国家資格としての権威性
先述したとおり、USCPAはアメリカの国家資格です。資格大国である日本では、「国家資格」のブランドはとても強いです。ましてや海外の資格となれば、そのブランドイメージは相当高いと想像できます。
また、USCPAは世界中で認知されている資格であり、海外相手に仕事をする際も会計士としての肩書を持ち仕事ができます。相互認証制度を使えば、カナダやオーストラリアなどのいくつかの国において現地のCPAライセンスが取得できるので、プロとして不利になることもありません。
世界中で力を発揮できる認知度の高さや権威性はUSCPAの大きなメリットですね。
USCPAのメリット3:公認会計士と同じ条件で同じ仕事ができる
会計事務所や監査法人は、日本最高の難易度を誇る資格試験の1つである公認会計士試験合格者の多くが選ぶ就職先であり、文字どおり会計のプロフェッショナル集団がその高度な会計知識を活かし仕事をしていく場です。年収も一般企業と比較し高い傾向にあり、専門性を磨くのには最高の環境だと言えるでしょう。
USCPAに合格すれば、その監査法人への転職が可能になります。
USCPAはよく日本の公認会計士と比較されますが、実際、日本の公認会計士試験の方がはるかに難しいです。USCPAも決して簡単ではなく、難関試験であることは間違いありませんが、日本の公認会計士試験と比べると(英語さえ大丈夫なら)かなり受かりやすいと思います。
つまりUSCPAに合格すれば、難易度がはるかに高い公認会計士試験合格者と同じ環境・待遇で同じ仕事ができるということ。これは考えてみたら素晴らしいことで、本記事で比較している簿記1級も難関資格であるにもかかわらず、それだけで公認会計士と同じ扱いにはなりませんし、そもそも簿記1級だけで監査法人への就職はUSCPAに比べると難しいでしょう。
会計事務所や監査法人に就職すれば、実務を通じてプロの会計を学んでいけます。座学での知識は最低限身につけて、とにかく現場に入り実務を学ぶ。こういったキャリアパスが可能になるのはUSCPAの特権だと言えます。
簿記1級のメリット1:高度な会計知識が身に付く
簿記1級は簿記資格で最高に位置し、その難易度は日本の資格試験の中でもかなり上位です。学習範囲も広く、かなり深い会計知識が要求されます。そんな難関試験を目指す過程では、簿記1級の名にふさわしい高度な会計知識を身につけることができます。
試験の性質として、簿記1級の学習範囲や難易度が税理士試験の簿記論・財務諸表論と大きく重なることから、財務会計・管理会計の分野では税理士や会計士に引けを取らないレベルの知識を有していると考えられます。
会計のジャンルで専門性を磨いていきたい人にとっては、そんなハイレベルな会計知識が学習できる簿記1級は魅力的な資格だと思います。
簿記1級のメリット2:日本での認知度と信頼性の高さ
簿記はその知識の汎用性の高さから、資格の人気ランキングで必ず上位に入る人気資格です。日本の社会人で簿記を知らない人はいないと言ってもいいのではないでしょうか。
その抜群の認知度から、企業からの高い信頼性も大きな魅力です。転職の求人を検索すると、簿記を必須や歓迎条件に挙げているポジションは無数にあり、その高い需要度が伺えます。
その簿記試験の頂点である「1級」合格者は多くの場面で高い評価を受けることでしょう。日本でのキャリアアップを考えるなら、認知度・信頼性の面で考えると簿記1級は大きな武器になることは間違いありません。
簿記1級のメリット3:税理士や公認会計士への道が開ける
簿記1級に合格すると税理士試験の受験資格が得られます。いわゆる「登竜門」的な位置づけですね。加えて簿記1級の試験範囲は税理士試験の「簿記論」「財務諸表論」や公認会計士試験の「財務会計論」「管理会計論」と大きく重なると言われており、簿記1級の知識はそのまま税理士試験や会計士試験を目指す場合も多くの点で転用できます。
「受験資格」と「学習内容」の両面から見て、簿記1級はこれらの上位資格を目指すための重要な切符であると言えます。
【目的別】USCPAと簿記1級、どちらを取得するべきか考察
それぞれの難易度とメリットを比較したところで、ではどういう人がUSCPAを目指すべきで、どういう人が簿記1級を目指すのが良いのかを検討します。
USCPAを目指すべきタイプ1:英語が得意/海外志向が強い
USCPAはその肩書きも内容も英語で仕事をすることを前提としていますので、英語が得意であったり将来は海外でキャリアを築きたい人にはその趣向に合致する資格です。世界的認知度を考えても、海外を相手に仕事をしていくなら大きな武器になることは間違いありません。
USCPAを目指すべきタイプ2:監査法人への転職を希望している
個人的にUSCPAを取得する上で最大のメリットだと感じているのが、監査法人へ就職するチケットが得られることです。先述しましたが、監査法人は公認会計士試験合格者の大半が希望する就職先であり、その業務内容もとても専門的です。
日本最難関資格試験である公認会計士と同じ環境で同じ仕事をし、同じようにプロとして専門性を磨いていける機会があるのは、非常に大きなメリットです。
USCPAの監査法人への転職についてはこちらをぜひ参照ください。
USCPAを目指すべきタイプ3:ビジネスに関する知識を幅広く学びたい
USCPAは会計だけではなく、ファイナンス、経済学、IT、監査論、法律などのビジネス知識を幅広く学習します。
欧米の大学では基礎的なビジネス知識は必修科目として学習しますので、これらの知識は世界的な基準で考えると「ビジネスマンなら当然持っているもの」であり、国際的なビジネスマンとして仕事をしていく上で知っておきたいことばかりです。
会計だけではなく、世界で通用するビジネスの知識を習得したい人にとってUSCPAは最適なキャリアだと言えます。
簿記1級を目指すべきタイプ1:日本企業の経理職として安定したキャリアを築きたい
日本で経理職をしていきたいなら、USCPAより簿記1級の取得を優先するべきでしょう。専門職であり、安定したポジションを築きやすい日本企業の経理職はとても魅力的なポジションです。簿記1級に合格すれば、大企業も視野に入るので高年収を実現できる可能性もグンと上がります。
簿記1級を目指すべきタイプ2:税理士/公認会計士を目指す予定である
先述のとおり、簿記1級は上級資格である税理士・公認会計士への登竜門です。これらを目指していく展望を持っている人は簿記1級の取得を目指す方が良いでしょう。学習の過程で税理士や会計士試験の出題範囲もカバーできるので、効率の良い学習計画が実現できます。
簿記1級を目指すべきタイプ3:会計という1つのジャンルの専門性を高めたい
USCPAが幅広く様々なジャンルを学習するのに対して、簿記1級は会計を深く学習する資格です。
合格者の会計知識は税理士試験の簿記論合格者と同程度と言われており、「会計のプロ」として見なされるレベルです。ほとんどの場面において会計処理に悩むことはないと思います。
このように「会計」という1ジャンルにおいて、専門家として活躍していきたい人は簿記1級の取得が良いのではないでしょうか。
まとめ
USCPAと簿記1級を比較しました。会計関連の資格を検討するとき、候補の中で必ず対立するのがこの2つではないでしょうか。それぞれに特色・メリットがあり、自身がどのようなキャリアを気づいていきたいかによって、取得するべき資格は変わってきますが、結論、どちらもレベルが高く素晴らしい資格です。多くの場合においてキャリア形成の大きな助けになることは間違いないので、自身の将来像と照らし合わせて選択するのが良いのではないでしょうか。
本記事がUSCPAや簿記に挑戦しようと考えている人の情報収集に少しでも役立てば嬉しいです!
ここまで読んでくれてありがとうございます!
TwitterでもUSCPA/海外での独立や関連する有益な情報発信を頑張っています。良かったらそちらもチェックしてみてください!
Twitter ➡️➡️➡️ パラゴン@USCPA→海外で独立に挑戦中
1年で合格を目指せる学習スケジュールについて